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LastUpdate 2017/03/08

富士山遭難事故の記録 2016年

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富士山で起きた遭難事故をまとめています。

はじめに

富士登山のサイトを運営していますが、あえて遭難事故を掲載するべきかどうか、少し悩みました。

近年、登山ブームが加熱する一方で、充分な知識も経験も無い登山初心者までもが富士山に押し寄せるようになり、富士山でも遭難事故が後を絶ちません。マスコミでも遭難事故が取り上げられる機会が増え、それに対して世間の目も厳しくなっていると感じます。

「登山は自己責任なんだから、救助の必要は無い」「こんな奴等を救助するなんて税金の無駄遣いだ」などなど、遭難者に対して心無い言葉を浴びせ、ときに人格攻撃まで行われるまでになっています。

私個人としても、興味本位の単なる野次馬と見られたくはないですし、人の生き死にを伝えるというのは相手もあることですから生半可な気持ちで出来ることではありません。以下のリンクのように、すでに富士山の遭難を扱ったサイトもあったので、ここには手を触れないつもりでいました。

しかし、件のサイトも2013年の1月を最後に更新が止まり、無謀な登山者に警鐘を鳴らすという意味でも、このような記録をまとめることは無駄ではないとの思いから、当サイトで記録をまとめることとします。

なお、このページは、遭難者を晒し者にしたり、ミスを論ったりすることを目的として作っているわけではありません。ご覧になっている皆様にも、他人を一方的に非難し誹謗中傷するために利用することは厳に謹んでいただきたく、お願い申し上げます。それが出来ないという方は、ご覧にならないでください。

あなたの遭難事故を防ぐのは、あなた自身に他なりません。そのために、このサイトを利用していただければそれで十分です。

なお、昭和31年(1956年)から平成25年(2013年)の58年の間に、山梨県側だけで293人が亡くなっています。

attention!

NHKの公式WEBサイト、NHKニュースからの引用です。

富士登山者の安全祈願と慰霊祭

05月22日 16時42分

7月1日の富士山の山開きを前に、登山者の安全を祈るとともに、登山中に亡くなった人たちを慰霊する行事が、富士吉田市で行われました。
安全祈願慰霊祭は、富士山の吉田口登山道の入り口付近にある慰霊碑の前で行われ、山小屋の組合や市、それに地元の警察など、およそ30人が集まりました。
はじめに、富士山のふもとにある北口本宮冨士浅間神社の宮司が神事を行いました。
そして、出席者が今シーズンの登山者の安全を祈るとともに、これまで登山中に亡くなった人たちを慰霊しました。
富士山の山梨側では、記録が残っている昭和31年から去年まで、293人が亡くなっていて、今月も滑落事故で1人が死亡しました。
富士山は7月1日に山開きが行われる予定で、去年の夏山シーズン、山梨側から富士山に登った人は23万人余りに上ります。
慰霊祭に出席した富士吉田市の堀内茂市長は冬山シーズンの登山についてはほかの町村と連携して何らかの規制などを作るよう県に働きかける考えを明らかにしました。
堀内市長は「ことしは例年の3倍近くの雪があり、予定通り山開きができるか心配です。装備を万全にして登山を楽しんでほしいです」と話していました。

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事故傾向の分析

静岡県警が公表している資料から、ルートごとに異なる事故の傾向をある程度読み取ることが出来ます。以下の表は、平成20~24年の5年間の事故割合をまとめたものです。

Check Point!

表の説明

転倒
つまずき、スリップなど。
発病
高山病、低体温症など。
道迷い
地理不案内、悪天候、装備不備など。
地理不案内は、地図の不携帯。悪天候は、濃霧。装備不備は、ライトの不携帯が主な原因だと思われます。

転落と滑落はひとつにまとめています。
落石、落雷、不明、その他は、表からは除外しています。


種類別事故割合

Check Point!

ルート別、発生事故の傾向

須走ルート
転倒件数が4割近くを占めますが、これは主に急傾斜で滑りやすい下山道で発生していると思われます。
御殿場ルート
疲労と道迷いが多く、他のルートに比べて標高差や距離が長いこと、広大な斜面で霧や夜間に登山道を見失いやすいことがあげられるでしょう。
富士宮ルート
砂の載った岩場での転倒が多く、登山口の標高が高いことから、体が高度に馴れる前に標高をあげてしまうことで高山病になりやすいと考えられます。
その他
その他とは、上記3ルート以外を示していると思われますが、主に二ツ塚(双子山)や御殿庭のようなガイドロープが整備されていないハイキングコースでの道迷いが多いということでしょう。

もちろん、あくまでも傾向ですから、発生割合が少ない事故は考慮する必要が無いということではありません。

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2016年(平成28年)に発生した遭難事故

遭難事象遭難原因/発生地点 [発見地点]
12月4日 32歳男性 登頂後下山中に滑落 滑落[吉田口7合目付近]
11月21日 30代男性 心肺停止で発見 滑落
11月20日 65歳男性・18歳男性 相次ぎ滑落 滑落須走口9合目付近[吉田口下山道7合目付近]
滑落須走口9合目付近[須走口7合目付近]
8月27日 34歳男性 下山中転倒/68歳男性 下山中転倒 転倒富士宮口7合目
転倒富士宮口8合目
8月25日 66歳男性 下山中転倒/26歳女性 頭痛/61歳女性 下山中転倒 転倒富士宮口7合目
体調不良富士宮口6合目
転倒富士宮口7合目
8月24日 15歳男性 家族とはぐれ行方不明 行方不明御殿場口[5合目]
8月14日 24歳男性 下山中転倒/34歳男性 転倒し捻挫 転倒須走口下山道7合目
転倒御殿場口7合4勺
8月11日 13歳男性 高山病で横たわる 高山病御殿場口9合目
8月10日 年齢不詳男性 倒れているのが見つかる 原因不明[須走口5合目付近]
8月8日 65歳男性 歩行不能/40歳男性 歩行不能/48歳女性 転倒で頭を打つ 高山病富士宮口7合目
高山病富士宮口6~7合目
転倒富士宮口6合目
8月5日 51歳男性 滑落/26歳女性 体調不良/6歳男児 体調不良/55歳男性 胸の痛み 滑落山頂白山岳
体調不良富士宮口7合目
体調不良富士宮口8合目
体調不良宝永第一火口縁
7月30日 60代男性 胸の痛みを訴える/52歳女性 下山中に転倒 体調不良須走口6合目
転倒富士宮口8~9合目
7月24日 77歳男性 意識を失い倒れる 意識不明吉田口7合目
7月18日 36歳男性 意識不明で心肺蘇生 意識不明富士宮口9合目付近
7月17日 41歳男性 歩行不能/52歳女性 道に迷った 転倒富士宮口7合目
道迷い須走口5合目 [5合目小富士付近]
6月6日 白骨化遺体発見/3名 濃霧で道迷い 原因不明[須走口7合目付近]
道迷い富士宮口6合目宝永山火口付近 [6合目]
5月31日 30代女性 自転車走行中に転倒 転倒富士スバルライン3合目付近
5月8日 33歳男性 下山中アイゼンを引っ掛ける/2名 濃霧で道迷い 転倒富士宮口9合目
道迷い不明
4月22日 29歳男性 遺体で見つかる 原因不明[吉田口7合目]
4月20日 21歳男性 スキーで転倒/45歳男性 救助中に二重遭難 転倒吉田口8合目
4月10日 43歳男性 15人パーティーで登山中に滑落 滑落吉田口9合目 [7合目]
4月9日 16歳男性 軍手、長靴でSOS 装備不良吉田口7合目 [7合目]
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