富士山混雑度リアルデータ

最初から選択肢は少ない

山小屋の予約は、いつ、どの山小屋に対して行うかが考えどころです。

多くの山小屋は、予約の受付を4月から始めています。しかし、すでに受付開始時点で全ての週末が満室となっている山小屋が少なくありません。これはどうしたことでしょう？

実は、山頂に近い８合目辺りの山小屋は、一般客の受付を始める前にツアー会社によってほとんど「買占め」られているのです。つまり、我々のようにツアーを使わず個別に登山する人たちは、やりくりして平日に休みを取って登るか、７合目以下の山小屋を選択するしか方法は残されていないわけです。運良く予約が取れても、満員の山小屋で混雑することは間違いないでしょう。

空いている山小屋＝不人気では決してない

予約の状況をパッと見ると、上の方の山小屋ほど人気があるように見えますが、これは山小屋の良し悪しではなく、より山頂に近い方から埋まっているだけのことです。なぜこうなるかというと、山小屋へ宿泊する客のほとんどが山頂での御来光を目的としているために、翌朝登山を再開するときに山頂までの登山時間が少ない山小屋を選択しているのです。

では、７合目など下の方の山小屋から御来光を目指すのは無理かというと、そういうわけでもありません。８合目よりも1～2時間ほど早めに出立する必要はありますが、山小屋自体は比較的空いているので、ゆったりと睡眠や休憩を取って力を蓄えることが出来ます。一日目の登山も短く済むので、余力を残すという意味でも７合目以下での宿泊は有効です。

また、最初から山頂での御来光を求めずに、山小屋前や８合目ぐらいまで登ったところで日の出を迎える計画とすれば、元から混雑する８合目以上の山小屋に予約を取る必要性もありません。

高山病対策も考えて

高山病は睡眠中にかかりやすいことが知られています。睡眠中は本能によって呼吸が抑えられ、覚醒時のように自分の意思ではコントロール出来ないために、酸素不足に陥りやすいのです。

寝室の窓を閉め切っている山小屋では、宿泊客の呼吸によって酸素が薄くなる影響も考えられます。これらのことから、８合目よりも気圧が高く、比較的空いている５～７合目に宿泊することが高山病対策にも有効なのは確かでしょう。

天気とキャンセル料

登山は、基本的に天気が良くないと楽しさも半減してしまうのは富士山も同じです。しかし、確実な天気は前日にならないと分かりません。週末の予約は早めに取らなければならず、早く取ると天気が読めない。これが山小屋予約の大きなジレンマです。

予約のキャンセルにはキャンセル料金を取られる山小屋がほとんどなので、天気が悪いからといって気軽にキャンセルも出来ません。ですが、確実に天気が悪い、特に強風や雷雨で荒れることが予想されるときは、これも登山のコストと割り切って、キャンセルする決断が大切です。

もしも、そのコストを払いたくないのであれば、飛び込みや当日予約という手段を取らざるを得ません。週末の８合目以上の山小屋ではまず無理ですが、平日や７合目以下の山小屋であれば、意外と空きがあります。山小屋の朝は早いので、夜明け過ぎから電話を受け付けているところもあります。家を出発する前に当日と翌日の天気を確認して、朝一で寝床を確実に押さえてから登山の判断を下すというのもありでしょう。