富士山須走口旧馬返から登る
須走口を旧馬返から5合目まで登る須走キャニオンルートを解説します。
須走口を旧馬返から5合目まで登る須走キャニオンルートを解説します。
グランドキャニオン(マウスオンで表示)
須走口は、かつて馬返しと呼ばれていた場所から5合目まで登ることも出来ます。但し、ここで紹介するルートは、かつての登山道ではありません。かつての登山道は、グランドキャニオンを通らずに、その手前の浅い谷を登り詰めて行きます。そちらは、今では廃道寸前で、登山初心者の方にはオススメ出来ません。
ここで紹介するルートは、グランドキャニオンと呼ばれる谷間の道を通り、その峡谷の崖の上に出て森を抜け、粗い砂と小石だらけの尾根を延々と登る厳しめのルートです。道標などは一切無いので、ルートファインディングが出来ないと、道に迷う恐れがあります。地図とコンパスは必ず携帯してください。
なお、須走キャニオンルートとは、吉田口の馬返と紛らわしいので当サイトで勝手につけた名前です。
登山ルート | |||
---|---|---|---|
標高 | 5合目1,970m 旧馬返1,366m | 標準コースタイム | 登り2時間5分 下り1時間30分 |
標高差 | 624m | コースタイム実例 | 登り時間分 下り時間分 |
距離 | *大よそ4km | ||
交通 | |||
バス | 登山バス1路線 | アクセス道路 | ふじあざみライン |
最寄り駅 |
| 通行料 | 無料 |
最寄バス停 | 『馬返し』バス停 | 駐車料/収容台数 | 駐車場なし |
*『地理院地図』で管理人が計測。*管理人による食事・トイレ以外の小・中休憩時間を含む実測(ストック不使用)。 | |||
※標準コースタイムは昭文社発行の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』2012年版から引用。基準として①40~50歳の登山経験者②2~5名のパーティ③山小屋利用を前提とした装備(テントを持たず比較的軽量という意味)④夏山の晴天時としています。※食事やトイレなどの休憩(大休止)を含まない正味の時間であり、休憩等を含む実際の登山ではさらに時間が掛かりますので、計画を立てる際には注意が必要です。 |
かつては、ふじあざみラインの入口辺りから登山道が続いていたはずですが、旧馬返(きゅううまがえし)より下は現在廃道になっていて、痕跡も辿れない状況です。旧馬返まで車道を歩いて来る事も出来ますが、距離も長く、歩道も無いので、バスを利用するのが無難です。
旧馬返には、駐車場が無いので、バスかタクシーを利用する以外にありません。この場所でタクシーをつかまえるのは難しいので、帰りのバスに乗り遅れないように注意してください。
この周囲にはトイレも何もありません。
旧馬返 | |
---|---|
標高 | 1,366m |
駐車場 | なし |
トイレ | なし |
自動販売機 | なし |
公衆電話 | なし |
登山ポスト | あり |
登山道の入口はここではない
旧馬返の石柱の脇には、旧登山道の石柱も建っています。その間に道があり、進むと建物がありますが、ここで立入禁止のロープが道を封鎖しています。ここは素直に引き返して、車道をグランドキャニオン入口まで5合目方向へ登りましょう。その際は、猛スピードで下ってくる車に充分注意してください。
距離にして300m、およそ5分ほど登ると、道の右側にグランドキャニオンと彫られた石柱が建っています。須走キャニオンルートの登山道入口は、ここになります。馬返しバス停と同じく、車を停めるスペースはありません。
石柱を左に見て、道が伸びています。そちらへ行くと、また立入禁止のロープが道を塞いでいます。それではと引き返して車道に戻ると、右斜め前に、別の道が伸びているのが見つかるでしょう。ですが、この道は登山道ではありません。そのまま進んでも、また車道に戻ってしまう意味不明な道です。
すっげぇ谷
崖の上から下ってくる道は斜めに切ってあるので、傾斜はキツくはなく、危険もありません。但し、雨や朝露で湿っていると滑りやすいのでご注意を。
下まで降りて来ると、両側が切り立った谷の底です。本家アメリカのグランドキャニオンには敵いませんが、ここもまた日本とは思えない景色が拡がっています。グランドキャニオンを直訳すると「すっげぇ峡谷」ですが、まさにすっげぇ谷です。
富士山噴火の歴史を物語る
降りて来たのと反対側の壁には、地層が露出しているのが見られます。より正確には、地層というよりも富士山が噴火したときのスコリアと呼ばれる噴火物や火山灰が幾重にも重なったものです。ですから、見た目は滑らかですが、良く見ると小さな粒々で出来ているのが分かります。この壁は崩れやすいですから、スコリアの粒を見ようとして壁に触らないようにしてください。スコリアを見たければ、壁の下にいくらでも落ちていますので。
先へ進むほど高くなるなる
グランドキャニオン(マウスオンで表示)
谷底は粗い砂に覆われていますが、先へ進みましょう。グランドキャニオンは進むほど高さを増し、息を呑むような光景が拡がっていきます。途中で引き返したら後悔しますよ、本当に。
富士山の須走側は、よく霧が出るのですが、霧が出てくるとより一層幽玄な雰囲気が醸し出されて時間を忘れてしまいます。
写真だとそれほどすごいとは感じないという方も居るかも知れませんが、実際にこの場に立って実感していただきたいものです。
決して無理して進まないでください
さらに進んで行くと、谷が二股に分かれた場所に行き着きます。右側の谷は、砂と倒木で埋まっています。左側の谷は、大きな岩がゴロゴロしています。この谷の入口には、「悪路×」と赤いスプレーで書かれた岩が。
登山初心者の方が安全に散策出来るのは、ここまでです。来た道を引き返しましょう。先に進むのであれば、地図とコンパスが必要です。
凄まじい自然の力を感じる
念のため書いておきますが、小富士を通って5合目へ至る道は、この「悪路×」の谷ではありません。この悪路の谷は、極めて危険です。スラッシュ雪崩が岩を転がして来るのか、一年で別の場所のように様相を変えてしまいました。現在ここがどうなっているのか、見当もつきません。
左の写真は同じ場所ではありませんが、2012年の時点ではこの先しばらくは平らな砂地が続き、大きな岩は谷の奥まで行かないとありませんでした。それが、わずか一年足らずの間に二股の近くまで岩に埋め尽くされているのです。
谷底で落石に遭えば逃げ場は無い
この先の崖下は、上からいつ落石があってもおかしくありません。しかも、極めて狭い谷ですから、落石からの逃げ場所はありません。落石があったら、諦めてください。というよりも、そのような最悪の事態にならないように、絶対に先へ進まないでください。先ほどの立入禁止のロープとはわけが違います。
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