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LastUpdate 2016/04/28

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実際に計画を立ててみよう。

(※注意:このページで言う「山頂」とは、各登山道の終わり、つまりお鉢巡りコースのある火口壁に到着時点のこととしています。実際の富士山山頂である最高地点は「剣ヶ峰」と分けて表記しています。)



タイムスケジュールの作成方法

登山予定にある程度目鼻がついたら今度は具体的にスケジュールを決めていきますが、登山予定日がまだ先であればキッチリ決める必要もありません。予定日が変ることもあるでしょうし、参加者が増えたり減ったりで調整することもあるでしょう。それでもある程度見込みを付けておくと具体的なイメージが湧いてやる気も出てきます。特に公共交通機関を使う方は選択肢が多いですし、予約やチケットの購入が必要であれば早めに取らないと売り切れになる恐れもあります。立てた計画は未完成でも、一応の記録を残して後で確認しやすくしておきましょう。

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地図の準備から

まず、スケジュールを決めるために最低限必要なもの、「地図」を用意しましょう。観光案内所なんかで配っているようなパンフレットでは必要な情報が得られないので不十分です。本格的な登山では2万5千分の1地形図を使いますが、そこまでは必要ありません。主に5万分の1の縮尺の登山地図と呼ばれるものでOKです。
左の画像のような、昭文社の『山と高原地図』がお薦めです。大きく広げられるB2サイズの一枚地図で、耐水性のある紙で出来ていますから雨や霧でも破れたりしません。地図とは別に各種登山コースの解説もついているので、コース選択の参考にもなります。
登山地図には、パンフレットより詳しい情報として、区間ごとのコースタイムや山小屋、トイレ、救護所、駐車場、路線バスのバス停の名前とバス会社名、標高を示す等高線まで載っています。
これらの情報を元に、目的地からの逆算で計画を立てていくのは、登山に限らず旅行などと一緒です。ツアーに参加する人も、「計画はツアー会社が考えてくれるから」なんて思わずに、必ず自前の地図を用意しましょう。

まだ地図を用意するには早いと思うのでしたら、以下のサイトの登山地図を利用すると良いでしょう。御殿場口だけでなく、プリンスルートも含めた5合目から上の全ての登山道が見られます。プリントアウトして使用する場合は、雨濡れ対策も忘れずに行って下さい。
吉田ルート、須走ルートの載った地図はA2サイズですので、家庭用のプリンターでは印刷範囲を指定してA4用紙に印刷すると良いでしょう。そのまま縮小印刷してしまうと、小さくなり過ぎると思います。また、プリンターをお持ちでない方は、プリントアウトサービスを利用すると便利です。以下のリンク以外にも色々な会社がやっているので検索して探してみて下さい。

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交通機関の選定

まず、使用する交通機関から考えていきましょう。

マイカー
車なら自宅から5合目まで直行出来ますが、マイカー規制と渋滞、5合目駐車場の混雑には注意が必要です。5合目などで仮眠を取れるのが便利で、温泉や観光地に寄ったりお土産を買って帰るときも不便がありません。
電車+バス
一番オーソドックスな方法です。バスの運行時間に注意すれば、スケジュールも立てやすい移動手段だと言えるでしょう。お土産などは、コインロッカーや宅配便をうまく使うといいでしょう。
高速バス
5合目に直通の高速バスは、極めて限られています。吉田ルートは東京都の新宿駅から、富士宮ルートは静岡県の静岡駅から富士宮駅を経由します。須走口と御殿場口に直行する高速バスはありません。5合目直通でなければ、様々な高速バスが運行されています。電車よりも運賃が安く済むのが魅力です。
タクシー利用
タクシーのメリットは、バスの運行時間に左右されないスケジュールが組めることです。一方で、少人数で利用すると駅から5合目までの距離が遠いために割高になります。駅で同行者を見つけてワリカンにすると安上がりですが、シーズン中でもバスが終わった時間にうまく人がつかまることを過度に期待して計画を立てるのは無理があるでしょう。特に、女性はいきなり知らない人と乗り合わせるのは危険があることを十分理解すべきです。
レンタカー利用
レンタカーの利点は、登山前後に温泉、観光地に寄れるなどマイカーと同じですが、特に遠方から飛行機で来るときに便利なのはもちろん、お盆などで高速道路の渋滞が予想される場合にも、電車と併用することで比較的予定通りの時間で行動出来ます。週末や、海の日、お盆休みの連休には予約が混みあうので、予定日が決まっていたら早めに予約を取っておきましょう。
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プランニングの基本

具体的な計画の立て方は、自宅を出発する所から組み立てていくことも可能ですが、基本的には「どこそこに何時までに着かなければならない」という目標時刻を設定して、そこから逆算して出発時刻を決めていくのが最も確実な方法です。

まず、どこに基準点を置くかを考えますが、大まかに以下のどこかからになるでしょう。2日以上の行程の場合は、それぞれの日ごとに基準点を置くことになります。

  • 自宅、ホテルなど(帰着場所)
  • 下山地点(5合目)
  • 山頂(ご来光なら夜明け前)
  • 山小屋
帰宅時間が決まっている場合
遠方からの方や次の日が仕事の方は、「この時間までに帰りたい」というリミットがあると思います。そういう条件がある場合は、自宅に帰り着く時間をまず設定しましょう。帰着時刻が決まると、5合目に何時に降りていればいいかが分かるはずです。気をつけるのは、終電ギリギリとか余裕のない計画にしないことです。乗換に遅れてもどうにかなるような予定を組みましょう。
帰宅時間に余裕がある場合
それほど決まった帰宅時間が無い方は、下山時刻を基準に考えましょう。山登りにおいては、日が暮れる前に下山を終えていることというのが計画立案の大前提になります。これは、ヘッドランプを持っているか否かに係わらずです。仮に予定が遅れても、急な岩場を暗くなる前に通過できているように余裕のある計画とするべきです。
ご来光を目的とする場合
ご来光が目的であれば、夜明け前に山頂に着くための計画を立てます。気をつけるべきは、夜明け前の登山道の渋滞です。また、終バスや始バスの時間と予定が合わないことも多いので、タクシーを使うなどの対策を予め決めておきましょう。
山小屋泊の場合
登山に2日以上を掛ける場合は、1日ごとに基準点を設けます。1日目は、山小屋への到着目標時刻。2日目は、下山目標時刻という具合です。山小屋によって、チェックイン、チェックアウトの時刻が決まっているので、予定を立てる際には注意が必要です。
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コースタイムを予測出来るだけの経験を身につけて

どのようにプランを立てる場合でも要になるのは、あなたが下山までにどれだけの時間掛かるのか、つまりコースタイムの予測です。この設定によって予定は大きく変ってきますし、コースタイムの設定が大きく間違っているとその後の予定も大きく狂ってしまうからです。

あなたのコースタイムは、他の山をどれぐらいで歩けているかで大体予測できます。ですから他の山を歩くときも常にコースタイムを意識して時間を測りながら登山することが重要です。といっても、これはコースタイム通りに歩かないといけないということではありません。コースタイムの1.2倍掛かったなら、次は1.2倍の余裕をみる、そういうことです。

実際に計画を立てるときは、登山以外の時間として食事、大休止(景色を眺める時間含む)、高山病対策の時間も考えて予定を組み立てます。そして、登山開始から下山までの時間を、下山目標時刻に合わせてみるのです。一例として、以下のような順番で計画を立てます。

  1. 以前登った他の山では、ほぼコースタイム通りに歩けた
  2. 富士山吉田ルートの標準コースタイムは、約9時間半
  3. この9時間半に、食事、大休止として2時間を加えると、11時間半
  4. 8月1日に登るとすると、日没時刻は午後7時(これは山頂の日没時刻ですが大まかに分かればOK)
  5. 日没時刻から逆算した登山開始時刻は7時半
  6. 高山病対策として5合目で30分の高度馴化時間を取ると、7時には5合目に着きたい
  7. 車なら7時に駐車出来るように、混雑具合を予想して早めに着くように予定を立てる
  8. バスを使う場合、始発でも5合目に着くのは8:20(2011年の場合)となっているので、予定と合わないことが分かる
  9. 予定を変更してタクシーを使うか、下山目標時間を後ろにずらすか、山小屋泊にするかを判断して計画を練り直す
  10. いずれにしても、バスを使うと日帰りでお鉢巡りをする時間は取れないことが分かる
Check Point!

登山時間の計算式

登山時間の計算式:(標準コースタイム×あなたのコースタイムに対するペース)+食事と大休止(1時間半~2時間以上)+高山病対策に5合目で過ごす時間(30分~1時間)=登山に費やす時間

このように順を追って時間を確認しながら、予定通りにいかないところは変更して、徐々に組み上げていきます。このように具体的にみていくと、自分が標準コースタイムに対してどの程度のペースで歩けるのか分からないと、計画の立てようが無いことが理解出来ると思います。ですから、「事前の練習登山が必要」なのです。
練習登山をせずに、ぶっつけ本番で富士登山に臨む方は、食事、大休止の時間を含めて標準コースタイムの1.5倍はみた方がいいでしょう。実際には2倍以上掛かってしまう人もいるので、これで十分かどうかは分かりません。これで登山経験無しで日帰り登山に挑むことがいかに無謀であるか、時間的な面からもハッキリ分かったはずです。登山経験無しで富士登山に挑む方は、山小屋泊とした方が無難でしょう。

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その他の注意点

その他の注意点をケースごとにまとめました。

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公共交通機関を使う場合

路線検索などでは、日にちと時間指定を必ず行うこと
平日と休日ではダイヤが異なりますし、お盆の期間は平日でも休日ダイヤになったり、臨時列車が出て一部変更されたりする場合があります。
乗換などでは余裕を持った計画を立てましょう
初めて行く場所では勝手が分からずに思わぬところで時間を浪費してしまうものです。バスなどが遅れる可能性も考慮して、余裕のあるスケジュールを組む方が安心です。
食事と食料を購入する場所を考えておく
登山バス乗り場のある駅の周囲は、意外とコンビニなどが無くて食料品の調達に困難することもあります。予めどこで何が何時から何時まで買えるのか、しっかり調べておくべきでしょう。
トイレの目安もつけておく
登山口である5合目のトイレは、あまりキレイでない場合もあり、混雑して順番待ちの列に並ぶこともあります。事前に済ませられる場所があるか、和式トイレが辛い方は、洋式が用意されているかも調べておくと安心でしょう。
お土産を買う場所や、営業時間を確認しておこう
お土産などは荷物となるので、基本的には下山後に買うのが良いですが、スケジュールによっては下山が遅くなり土産物屋が閉まっていることも考えられます。事前に購入してコインロッカーに預けておけるのかどうかなど、調べておくと慌てなくて済みます。
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登山ツアーや高速バスを利用する場合

ツアーは、スケジュールをツアー会社が決めてくれるから簡単ではありますが、全て他人任せに出来ないことも多くあります。必要な情報は、ツアー会社に聞くなり、自分で調べるなりしておかないと、後で泣きをみることになりかねません。

予約方法やチケットの購入方法などの確認をしておく
予定日がハッキリしているのなら、出来るだけ早めに予約を取っておきましょう。人気のあるツアーや路線ほど早く売り切れてしまうものです。また、間近にならないと日程が決められない場合でも、席の空き状況などを随時調べておくと、予約のタイムリミットが分かって安心です。集合場所は何台も大型バスが停まっていて戸惑うこともあるので、早めに着くようにするなどの対策も必要でしょう。
食事と食料を購入する場所を考えておく
高速バスなどは、長距離を直接登山口に向かうので、どこで食事を摂り、食料品を購入するのか決めておかないと現地で途方にくれることになります。予め調べておくべきでしょう。
トイレの目安もつけておく
登山口である5合目のトイレは、あまりキレイでない場合もあり、混雑して順番待ちの列に並ぶこともあります。事前に済ませられる場所があるかどうか確認しておくとスッキリします。
お土産を買う場所や、営業時間を確認しておこう
お土産などは荷物となるので、基本的には下山後に買うのが良いですが、スケジュールによっては下山が遅くなり土産物屋が閉まっていることも考えられます。事前に購入してコインロッカーに預けておけるのかどうかなど、調べておくと慌てなくて済みます。
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自家用車を使う場合

マイカー規制の期間を確認する
一番気をつけることは、自家用車で5合目まで行けないマイカー規制が行われていることです。シャトルバスへの乗換駐車場が用意されていますから、その場所と手順、所要時間などを確認しておきましょう。
5合目駐車場の混雑具合を予想して計画を立てる
マイカー規制が行われていないと、今度は5合目駐車場が大変込み合います。週末などは駐車場に停めきれない車が路肩駐車場をしたり、渋滞の列が何キロも続いたりして意外と時間を取られます。路肩に停めて歩くのか、空きが出るまで待つのか、麓の駐車場でタクシーやバスに乗り換えて行くか、様々な方法を検討しておきましょう。
食事と食料を購入する場所を考えておく
登山口に近づいて、「もう少し先で買おう」と思っていると、お店が見つからず引き返すハメになることが(私も)良くあります。早めに調達するか、どこが最後のお店になるのか、予め調べておくと安心です。
トイレの目安もつけておく
登山口である5合目のトイレは、あまりキレイでない場合もあり、混雑して順番待ちの列に並ぶこともあります。事前に済ませられる場所があるかどうか確認しておくとスッキリします。
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山小屋に泊まる場合

予約は必ず入れよう
シーズン中の山小屋は、とても混みます。予約を入れていないと空き室が無かったり、断られることもあります。人気のある山小屋ほど早めに満室になるので、日程が決まり次第、直ちに予約を入れておきましょう。また、急に予定が変った場合に備えて、連絡先を控えておくことも忘れずに。
ツアー登山でも山小屋の名前ぐらいは覚えておこう
人任せにしていると、ツアーとはぐれたときに困ります。せめて泊まる予定の山小屋の名前と連絡先ぐらいは確認しておきましょう。
山小屋のルールとマナーを知る
山小屋は街中のホテルや観光地の旅館とは違います。山小屋独特のしきたりや、ルールがあります。トラブルになったら嫌な思いをするのはあなた自身です。山小屋のサイトなどに詳しく書かれていることもあるので、必ず目を通しておきましょう。
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