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LastUpdate 2016/04/28

インターバル速歩で心肺機能強化

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まずは、運動不足の解消から。



STEP 1ウォーキング(散歩)

まずは足の裏を鍛えよう


プヨプヨの足の裏
(image from 写真素材 足成)

運動不足の人は、日ごろ歩く習慣があまり無い人が多いと思います。そのような人は、足の裏が柔らかくプヨプヨで、そのまま富士山を登ったりしたら足の裏が大変なことになってしまいます。

靴擦れ、血豆、水疱など、足の皮膚のトラブルのほとんどは、靴の内側と皮膚の摩擦で起こります。肌をカチカチにする必要はありませんが、10時間近い登山を痛み無く歩き通せるだけの丈夫な皮膚を作ることが最初のステップです。

足の裏の皮膚を鍛えるには、やはり歩くことが一番です。もちろん、他にも心肺機能や持久力を高めるなどの効果がありますが、とりあえずは足の裏を鍛え、皮膚を厚くするだけでも登山によるトラブルの可能性がひとつ減ることになります。

ふくらはぎは第二の心臓

ウォーキングには、他にもメリットがあります。一般に「ふくらはぎは第二の心臓」と言われ、足で鬱血(うっけつ)した静脈血を心臓に送り返すのにふくらはぎの筋肉が関係しているそうです。ここでは細かい説明は省きますが、要するに足を動かすことで血流が良くなり、健康促進にも役立つということですね。

Check Point!

ウォーキングの基礎

最初は、30分~1時間ぐらいの散歩から始めましょう。

  • 服装は、スニーカーに普段着でもOK
  • いつもの自分よりやや速いと思える速度で、10分以上連続して歩くこと
  • 背筋を伸ばしてやや胸を張り、顎を引いて視線は遠くを見る正しい姿勢を心がける
  • 肘を後ろに引くようにして腕を大きく振ると全身運動になり尚良い
  • 夜間に歩くときは事故に遭わないように明るい色の服や反射材を身につけ、必要に応じてヘッドランプや懐中電灯も使う
  • 暑い時期は、早朝や夕方の涼しい時間帯を選び、汗をかいてもいい服装に帽子を被り、タオルなどを持って、水分補給も忘れずに行う
  • アスファルトやコンクリートの硬い道路は避け、土や砂の軟らかい地面を選ぶこと
  • クッション性が高い厚底の靴よりも、靴底が適度に薄く、軽い力で曲がるぐらい柔軟性のある靴の方がむしろ良い
  • 歩く速度と足を前後に動かすテンポに合わせて、呼吸もリズミカルに

海岸や河川敷、池や樹林がある広い公園、田んぼのあぜ道など、地面に適度なクッション性があり、毎日散歩しても飽きないような場所が最適です。また、適度な傾斜があり、坂を上り下りするような場所があれば、より効果的です。

他の趣味とトレーニングを結びつけるのも効果的です。例えば、写真を撮る趣味があるなら、散歩に出るときにカメラを持ち出しましょう。近所の公園や路地でも普段気に留めていなかったものが被写体になることに気付いたりします。他にも、絵画、俳句、食べ歩きなどを目的に徐々に足を伸ばしていけば、『歩く動機付け』になって長続きします。

歩き方の偏りを矯正しよう

長時間歩くと、最初のうちは足の裏に水ぶくれが出来たり皮が剥けたりといったことが起きるかも知れません。その水疱などのできる場所に偏りがないか確認しましょう。偏りがあれば、その水泡の出来る場所に過度に負担がかかっているということです。

例えば、足の裏の外側に水疱が集中していれば、足の外側が先に地面について、足の裏が地面に対し水平に接地していない証拠です(『O脚(オーきゃく)』に多い)。次に歩くときは、水平に足を下ろすように意識的に歩き方を矯正してみてください。歩き方のバランスが崩れていると、足の裏だけでなく膝へも負担が掛かるので、まずは正しい姿勢と歩き方を無意識に出来るようにすることが先決です。

そして、歩くのに慣れてきたら足の皮膚が厚くなって耐性がつきますから、皮がむけたり水疱が出来たりもしなくなります。人によって差がありますが、1~2週間で足裏の準備は整うでしょう。

運動の量と質

ウォーキングを歩数で評価する考え方も有りますが、ただ一万歩とか歩数を稼げばそれでいいというわけではありません。「運動の量」だけに捉われず、同時に「運動の質」も上げることが大切です。

運動の質は、『運動の強度(負荷)』の他に『運動の継続』が重要な要素です。運動の継続とは、「三日坊主にならずに毎日やりましょう」という意味ではなく、1回の運動における時間の長さです。1分間の運動を10回繰り返すよりも、連続して10分間の運動を1回やる方が持久力のトレーニングでは効果が上がることもあります。

歩行による運動で効果をあげるには、最低でも毎分60歩以上のスピードで連続10分以上、出来れば毎分100歩以上で合計30分は歩く必要があるようです。だらだら歩いて一万歩では意味が無いということですね。

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負荷を上げる

もも上げで足の筋力アップ


もも
(image from 写真素材 足成)

足が慣れてきたら徐々に負荷を上げて行きますが、散歩だけで2~3時間も歩くのはさすがにきついですし、効率的ではありません。短い時間で負荷を上げるために、もも(膝)上げ運動を行いましょう。膝を上げることで登山で斜面を登るときの足の使い方に近いトレーニングになります。

Check Point!

もも上げ

太もも(膝頭)をいつもより5cm高く上げて歩くことを意識しましょう。

  • 5~10分続け、疲れたら普通の歩き方に戻し、少し休みを挟んで断続的に続ける
  • 慣れてきたら、よろけても周囲に危険が無い場所で、さらに膝を上げて歩く。このとき、一歩を大きくとる必要は無いので足を止めて、その場でもも上げだけ行っても良い
  • 膝は前方に押し出すのではなく、胸に引きつけるように真っ直ぐ上げる

但し、上げた足の力を一気に抜き、重力に任せて「ドシン」と落下させるのは良くありません。それだけ足や膝にかかる衝撃も大きくなりますし、トレーニングとしても効果的ではないのです。

上げた足は、地面につくまで自分の力を使って下ろしましょう。そのときも急がずにゆっくり下ろすと、早く下ろすより負荷が掛かって効果的です。登山では瞬発力やスピードよりも持久力を求められるので、太極拳のようにゆっくりと動かしましょう。

階段昇り

階段昇りでトレーニングしている人も多いようです。ここでは、さらに負荷を上げると共に膝の関節を痛めないやり方も覚えておいてください。

Check Point!

階段昇り

階段は、昇るときよりも降りるときのことを考えましょう。なぜなら、階段を降りるときの衝撃は、膝を痛める原因になるからです。膝を痛めて慢性化すると、登山(というか下山)は過酷なものになります。

  • 階段昇りは、エレベーターのあるビルやマンションか、スロープなどの段差の無い坂道で降りられる場所を選ぶこと。つまり、降る時はエレベーターか、スロープを使って降りる
  • 負荷を上げるには、重いものを背負うのが良い。水の入ったペットボトルをザックに入れるのがオススメ
  • マンションの住人などの迷惑にならないように、人の多い時間帯や曜日は避ける
  • 一段飛ばしで昇るのはいいが、降りるときは一段飛ばしをしないこと

階段降り

下りで膝を痛めずに鍛える方法

エレベーターやスロープの付随する階段が身近に無い、または、降りるときも無駄なくトレーニングしたいという方は、以下の方法をオススメします。これは、実際の登山の際も使えますよ。但し、この降り方で膝が痛むという方はやめた方がいいです。

  1. 降ろす足が着地するまで、上の段の立ち足を上げない。つまり、両足が同時に空中に浮かないようにする
  2. それには膝を曲げていくが、立ち足の膝が爪先より前に出ないようにする(スクワットと同じ注意点)
  3. 膝が爪先を越えないようにするには、踏み出す足を出来るだけ真下に降ろす
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STEP 2持久力と心肺機能を高める

登山で求められる体力とは主に『持久力』のことで、筋力と共に『心肺機能』が大きな意味を持ちます。富士登山では、10代から30代までで人並みの体力があれば特別なトレーニングをしなくても登頂できるはずです。しかし、『人並み』とはどれぐらいのことを言うのでしょう?

正直私にも分かりませんが、少なくとも運動不足の状態を人並みとは言わないでしょう。まずは、上記のウォーキングから始めて運動不足を解消し、さらに余裕を持って登山したいという方は、以下の持久力と心肺機能を高めるトレーニングを試してみてはいかがでしょうか。

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インターバル速歩で持久力アップ

ウォーキングの次のステップ

ウォーキングに健康促進効果があることは良く知られていますが、これは高血圧などの生活習慣病についてであって、負荷の軽いウォーキング程度では、足の筋力を維持することは出来ても筋力アップの効果はほとんど無いそうです。

何のトレーニングでもそうですが、普通の生活で掛かる以上の負荷を掛けないと、能力アップの効果は期待出来ないのです。つまり、ウォーキングでは運動不足解消や体力の維持程度しか出来ません。ですので、ウォーキングに慣れて来たら、スピードを上げて速歩(そくほ)に移行することをお薦めします。

しかし、この速歩の主な目的は筋力アップではありません。持久力をつけることを目的として取り組みます。持久力を高めるにはインターバル走などが知られていますが、これは全力に近い強度の運動を短時間行い、間に軽い運動を挟み(インターバル)、また強度の運動を短時間行うというサイクルを複数回繰り返します。

インターバル速歩では走るほどのスピードは出さないので、膝を痛めたりするリスクが少なく、特に運動不足の人や40代以上の方が始めるには、ランニングやジョギングよりもオススメの方法です。

Check Point!

インターバル速歩の実践方法

以下は管理人独自にアレンジしたものです。みなさんも自分の体力に合わせ、段階的に負荷を上げて行きましょう。

  • 1分間に120歩以上、運動強度(HRR)で90%以上(最低でも70%以上)で早歩き。ハァハァと息が上がる程度が目安
  • 走るのではなく、片足は必ず地面に残るように歩くこと
  • ウォーキングと同じように、背筋を伸ばした正しい姿勢で行うこと
  • 無理のない範囲で出来るだけ大股に歩き、爪先を上げてカカトから着地する
  • 10分以上連続で早歩き、3~5分程度のインターバル(普通の速度に落とす)を挟みながら連続3回繰り返す。慣れてきたら徐々に速歩の時間を延ばす
  • インターバルトレーニングは疲労度が大きいので、1日1セットを週に2~3回ぐらいを目安に、筋肉の回復具合をみながら自分なりに適宜調整すること
  • 心臓や血管に問題がある人は、無理に行わないこと(掛かり付けの医師に相談してください)

運動強度(HRR)とは

運動の負荷の強さを、心拍数を目安にしてパーセントで示したものです。運動の強度を絶対値(100kgを持ち上げるなど)ではなく、実行者に与える負荷という相対値で表すので、各個人の基礎体力を基準に示すことが出来ます。

  • 最大心拍数=220-年齢
  • 運動強度(%HRR)=(心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100

(※運動強度の心拍数による表し方には、HRR(カルボーネン法)の他に、最大心拍数に対する割合で示すMHR(HRmax)があります。どちらを使うべきか、またはどう使い分けるのが望ましいかを調べましたが、どうもハッキリしません。ここでは、安静時の心拍数を考慮したHRRを使っています。)

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脈拍(心拍数)を測ろう

運動の強さは心拍数で分かる

上のミニコラムで触れたように、運動と心拍数は切っても切れない関係にあります。激しい運動をすると、身体は糖や酸素を消費してエネルギーを生み出します。消費された糖や酸素は血液で運搬されますが、運動強度が高いほど多くの血流量が必要になり、血液を送り出すポンプである心臓は、心拍数を増やすことで対応するのです。逆に言えば、心拍数から運動の強さを測ることが出来るということです。

心拍数の理解は登山に限らずスポーツをするのに必須ということでもないですが、脈拍数を参考にすることで、より効率的なトレーニングが行えます。みなさんも、小学校の体育の授業で脈拍を測ったことがあると思いますが、おさらいしておきましょう。

(※心拍=心臓の拍動/脈拍=血管の脈動)

脈拍は首で測ると分かりやすい

一般に、脈拍は手首で測る場合が多いですが、手首の動脈は血流量がさほど多くないので、脈をとるのが難しいという方も多いでしょう。ですので、私は首(頚動脈)で測ることをお薦めします。

なお、安静時の脈拍は伏臥(ふくが=うつ伏せ)の状態で測るのが正しいそうですが、あくまで参考なので、座った状態でも問題ないと思います。運動時の脈拍は、運動直後に測りましょう。時間をおくと脈拍が落ちついてしまいます。

Check Point!

脈拍の測り方

  • 脈をとる場所は、顎のエラの耳側角の下。測る側と反対に首を傾ける
  • 人差し指と中指の2本を束ねて軽く添える。決して強く圧迫しないように
  • 1分間で測る必要は無く、20秒で測って3倍にしても良い
  • 手首で測るときは、手のひらを上にして軽く反らすと分かりやすい

脈拍を測るのが苦手な方や自分で一々測るのが面倒という方は、 『電子脈拍計 』や、腕時計型の 『心拍計 』もあるので利用してみてもいいかも知れません。

また、血液中の酸素濃度(SpO2)を測ることが出来る『パルスオキシメーター』にも、脈拍を測る機能がついています。パルスオキシメーターは、高山病の診察にも使われる医療機器です。

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心肺機能の強化とは

心肺機能の強化と肺活量は無関係

心肺機能と言うと、肺活量を思い浮かべる人が多いようです。しかし、肺活量はほぼ体格(身長)で決まるために、他人と比べて多い少ないと考えることは意味がありません。同様に、トレーニングによって肺活量が劇的に増えると言うこともないようです。では、心肺能力とは何を意味するのでしょうか?

一般には、酸素摂取能力と、運動に伴って生成された炭酸ガスの排出する効率、そして心臓が血液を送り出す能力を言うようです。そして、持久力に最も密接に係わっていると思われるのが、心臓がどれだけの血液を送り出せるか、つまり心臓の強さです。

心臓が一拍で送り出せる量を増やす

人間は筋肉を収縮させるエネルギーとして酸素を必要としますが、酸素は血液中の赤血球によって筋肉まで運ばれます。その血液を送り出すのに心臓がポンプの役割をしています。この心臓が血液を送り出す動きを『拍動(はくどう)』と呼び、1分間あたりの拍動回数を『心拍数(脈拍)』と言います。そして、心臓が送り出す血液の量は、『心拍出量』と言い、この心臓が血液を送り出す能力が心肺能力の重要な要素となっています。

どういうことかというと、最大心拍数に対して安静時の心拍数は男性で60~70、女性で65~75とされ、この安静時と最大心拍数の差が運動強度の余力であると言えます。つまり、安静時で脈拍が60の20歳の男性であれば、[220-20-60=140]という計算により140の余裕となりますが、これが40歳であれば[220-40-60=120]となって、より強い強度の運動をする余裕が少ないことになります。

(※最大心拍数は、220から年齢を引いた数値。)

一方、安静時の心拍出量は成人男性で5~6L/minとなります。心拍出量は送り出す血液の量、つまり血液に含まれる酸素の量に比例するとも言えるわけで(そう単純でもないですが)、逆に言えば安静時の1分間に必要とする酸素を得るのに、血液が5リットル必要ということになります。この心拍出量は、トレーニングによって増やすことが出来ます。

心肺能力が高まると安静時の心拍数が減る

実際問題として、心臓がどれだけの血液を拍出しているか測るのは難しそうですが、その目安となるのが安静時の心拍数です。心臓がトレーニングによって強くなると1回で送り出す血液の量が増え、それに対して心拍数が減少します(一流のアスリートでは、心拍数が40以下にもなるそうです)。つまり、安静時心拍数が70の人が、トレーニングによって50まで下がれば、50回の拍動で以前の70回分と同等の血液量を送り出せていることになります。

1分間に5Lの血液を70回の拍動で送り出しているときは、1回あたり約70mlですが、これを50回の心拍数で行っているときは1回あたり100mlの心拍出量に増加しているわけです。これは同時に、最大心拍数までの余裕が20回分増えているということですから、運動負荷に対する耐性がつく、つまり心肺機能が高まったということになるのです。

Check Point!

心肺機能は心拍数ではかる

心臓のポンプ能力(心肺機能)の強化は、心拍数の減少という形で現れます。同じ量を、より少ない回数でこなしているということだからです。

  • 心拍数70回×71ml≒5L
  • 心拍数50回×100ml=5L
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