初心者に足りないのは、知識と経験
しかし、「ペース配分」と一言で言っても、登山初心者の方には難しいかも知れません。なぜなら、初心者には自らに適したペースを決めるだけの『知識』も『経験』も無いからです。
ではどうするか?
当たり前のことですが、知識と経験を身につければいいのです。
知識は、先人に学ぶ
この場合、『知識』とは『情報』であり、先人の経験が参考になります。が、手っ取り早いのは登山地図から情報を得る方法です。私は、昭文社の『山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹』をオススメします。この登山地図には「標準コースタイム」が記されているので、そのコースタイムに対して自分がどれくらいのペースで歩けたかで、現在の自分の実力が客観的な数字として確かめることが出来ます。
これは、「標準コースタイムこそが正しいペース」あるいは、「標準コースタイムで歩けるようにならなければいけない」ということではありません。あくまで自分のペースを掴むための参考資料ということですから、仮に標準コースタイムの倍の時間が掛かったら、倍の時間が掛かることを前提に登山計画を立てれば済むことです。つまり、「正しいペース」とは、人それぞれ違うものなのです。
以下、自分に最適なペースを見つけ出す具体的な方法を記述します。
このようにして練習登山の回を重ねると、徐々に自分のペースが標準コースタイムに比較してどれくらいなのかが分かって来ます。これが『経験』ということです。
登るのが速い人の方が偉い?そんな馬鹿な考えは捨ててください
勘違いして欲しくないのですが、「ペースは早ければ早い方が良い」ということではありません。
「私は〇〇山を何時間で登った」なんて自慢をする見栄っ張りや、登るのが遅い人を小ばかにするような態度をとる人が居ますが、早ければ偉いというわけではありません。ようは、自分のペースをより正確に掴むことが出来ればいいのです。
どんなに速く歩けてもペースにムラがある人は、まだまだ素人の域を出ていないと言えるでしょう。また、自分のペースを前提に踏まえた山行計画を立てられない人は、いつか遭難する危険性があると言えます。但し、一定のペースと言っても、歩きにくい岩場でも、歩きやすい平らな尾根道でも、どこでも同じペースで歩けということではありません。平らな尾根道など、安全に速く歩ける場所でしたら、バテない範囲でスピードを上げることも必要です。逆に、急傾斜の岩場で、平坦な場所と同じようなスピードで登っていては、体力の消耗を招くだけです。
大事なことは、状況に合わせたペースであり、同じ一続きの斜面でペースが極端に上がったり下がったりしないことです。
休憩の取り方は人それぞれで、正直、私もまだ試行錯誤の段階です。ですので、ここでは一般的に言われている休憩の取り方を記します。みなさんも、実際の山行で色々試して、自分に合った方法を模索してみてください。
休憩の取り方も、自分なりに
休憩の取り方も人それぞれで、「中休止は取らずに歩き続けた方が疲れない」という人も居ます。
私は中休止を取るタイプでしたが、最近は中休止を取らないスタイルに変わって来ました。これが、体力がついて来たということなのか、正しいペースが掴めて来たからなのか、自分でも良く分かりません。
登山は奥が深いもので、年齢や体力、経験などによって変化するのも当然と言えます。私も私なりに、今後も試行錯誤を続けていくことでしょう。
休憩の間に身体を冷やさないように
なお、中休止、大休止の際は、身体を冷やさないように面倒でも上着を羽織りましょう。特に風の強いときは自分で思う以上に体温が奪われますから、脱ぎ着しやすく、風を通さないウインドブレーカーを取り出しやすい場所(雨蓋など)に入れておくと便利です。
体が冷えるということは、体温を維持するためにエネルギーを余分に使うということでもあります。これも体力の無駄な消費ですから、決して疎かには出来ません。