人は、なぜ富士山に登るのか?
一部の人は、「富士山は見る山で、登る山ではない」などと言います。
一方で、「富士山に登って人生観が変わった」という人もいます。
ひとつの事実として、富士山には毎年30万人もの人が登っています。
なぜ人は富士山に惹きつけられるのでしょうか?
なぜ富士山に登ろうとするのでしょうか?
それは、あなた自身で登ってみないことには分かりません。
富士山に登った人しか得られないもの
「登って良かった」
「登らなければ良かった」
「もう二度と登りたくない」
「また登りたい」
いずれにしても、それはあなた自身が感じることであって、他人がとやかく言ってもしょうがないと思うのです。まずは登ってみてください。そして登ったあと、下から富士山を見上げてみてください。
「あの山に登ったんだ」
この気持ちは、登った人にしか味わえないものであることは確かです。これは他の山でも同様ですが、富士山のようにパッと見てその形から名前が思い浮かぶ山はそう多くありません。それだけでも、富士山は特別な山なのです。そして、その感動は一度だけで終わりではありません。あなたが富士山を見るたびに甦ります。何度でも何度でも。それって素晴らしい気持ちなんです。富士山に登ったことがない人には、一生この気持ちは分からないことですけどね。
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登山はつらい?
「それでも富士山には登らないよ」という方。
さようなら、また会う日まで。
「富士山に登ってみようかな」と思った方。
ようこそ富士山へ。
登山のイメージは?
さて、普段登山をしない人は、「登山はつらい」「登山は危険」というイメージを持っているようです。
はい、登山はつらいです。登山はときに危険です。それでも登山をするのはなぜか、それは「登山は楽しいから」です。楽しくないのに登山を続けている人は・・・まぁ、ほとんどいないと思います。「つらいけど楽しい」のが登山です。
では、何がつらく、何が楽しいのか。それは人それぞれ、と言ってしまっては元も子もないですが、このサイトの趣旨は、『つらさはより軽く、楽しさはより大きく』『挨拶は大きな声で』。これがモットーです。そう、つらいはずの登山も、やり方によっては「それほどつらくなく」することも出来るのです。そして、「山頂まで登って降りてくるだけ」では気がつかない楽しさもあります。それに気づかない人は、「富士山?苦しいだけで退屈だった」「一度登れば充分、二度と登らないよ」となってしまうこともあるのです。その一方で、「楽しかった、また登りたい」という人もいます。
「楽しい登山」と「つらい登山」 あなたはどっちを選ぶ?
考えてみてください、同じ労力と時間を費やしていながら、片方は楽しさを享受し、片方はつらいだけ。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。もしあなたが富士山に登ろうと考えているのなら、「つらい登山」と「楽しい登山」のどちらを取るか、聞くまでもないことですよね?
だったら、富士登山をより楽しむためにはどうすればいいのか、一緒に考えてみましょう。
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つらさも楽しさも自分次第
登山と言っても子供のころに登った経験だけではピンと来ない人には、具体的に説明しましょう。
書き出せばキリがないですが、逆に言えば、こういう辛さが我慢できない人、こういう楽しさを求めない人には登山は向いていないかも知れません。でも、「思ってたより楽しかった」ということもありえるので、やはり体験してみないと分からないよね、となるわけです。
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どれくらい歩き、登るのか
登山とは、歩くこととみつけたり
では、登山の辛さとはなんでしょう。登山に必ず必要なことは『歩くこと』です。それは、ハイキングレベルでも、富士山でも、世界一高いエベレストでも同じです。ハイキングのように往復1~2時間、2~3km程度というのもあるでしょうし、何日もかけていくつもの山を渡り歩く縦走(じゅうそう)と呼ばれる登山では何十キロも歩くこともあります。
富士山の場合は、ルートにもよりますが、往復約9~21km、標準的なコースタイムで9~12時間ほどを日帰り、もしくは山小屋に一泊しながら歩き通すことになります。
富士登山を別のものに例えると
9kmというと、渋谷駅から新宿駅までを往復(約8km)するよりも長く、しかも行きはずっと上り坂や階段だと想像してください。
では、高さはというと、東京スカイツリー(634m)をはるかに超えて、3,776mもあります。但し、富士山は通常5合目(ごごうめ)と呼ばれる中腹まで車で行けるので、実際に登る高さ(標高差)は1,400mほどです。
一般的な住居用マンションの階高(かいだか)が3m弱程度ですから、400階分以上。10階建てのマンションを40往復以上する計算です。階段の蹴上げ(けあげ=ステップ一段の高さ)を16cmとして計算すると、8,000段以上を昇って、さらに降りるということになります。
どうですか?聞いているだけで辛くなって来たでしょう(笑)
「そんなの、何が楽しいの?」と思うのが普通かも知れません。確かに、10階建てマンションを40往復しても何も楽しくありません。それはなぜか。上記の『登山の楽しさ』を思い出してください。階段上りでは「身体を動かす楽しさ」以外はほとんど満たされていないことが分かると思います。
つまり何が言いたいかというと、同じようなことをやるにしても、楽しみを見つけながらやるか、ただ辛いことだけをやるかで、その意欲も違ってくるということです。
登山の良さは、自分でペースを決められること
登山をやったことがない人の多くは、登山を階段上りのように一面的な辛さの部分だけで考えているのかも知れません。それでは、やる前から「なんか大変そうだな」「嫌だな」という気持ちが勝って、しり込みしてしまうのも当然です。
ですが、よく考えてください。登山はマラソンなどの競技とは違うので、基本的に時間制限はありません。400階分を登るにしても、5時間かけるとしたら1時間当たりおよそ80階分となり、1分あたりでは1階半の高さ(4m強)を登ればいいのです。
「1分で4mを登り続けるのは大変」と思う人も居るかもしれませんが、先に階段のステップ高を16cmとしたように計算すると、わずか25段の高さです。もちろん、5時間かけて登るにしても適度に休みを挟んで登りますし、体力に合わせて6時間や8時間かけて登る計画を立ててもいいわけです。相手のある対戦型スポーツと違うのは、登山は自分でペースを決められるということです。
老若男女が親しむ登山
このように、一見困難に思える長い距離であっても、目標を近くに置いて段階的に達成する計画を立てていくと、現実的なものに思えて来るから不思議です。「千里の道も一歩から」と言われるように、1kmでも100kmでも、短い一歩の積み重ねであることには変わりないのです。
そして、景色や花を眺めたり、おいしいおにぎりを食べたり、天気の変化に一喜一憂する、そういうことを楽しむ余裕を持つことで、長い行程もつらいだけでなく登山として楽しむことが出来るのです。また、そういう柔軟さが、老若男女、体力に自信のある人、そうでない人、それぞれ多くの人たちに登山が楽しまれている理由ではないでしょうか。
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初めての登山が富士山?
富士山に登る人は、初めての登山でいきなり富士山という人も多く居るようです。ですが、例えばマラソンを初めてやる人が何の準備やトレーニングもなしにいきなり大会に出ることは考えられないということは、誰でもわかると思います。
登山未経験者が、いきなり富士登山は無謀です
登山はレクリエーション(レジャー=観光)としての面と、スポーツとしての面があります。富士山では観光地としての側面、いえ、普通の人にとっては観光地以外の何物でもないようですから、いきおい「山頂まで行ってみようかな」ぐらいの軽い気持ちで(決して「登ろう」という強い気持ちではない)登ろうとしてしまうのでしょう。
このために、「富士山は登頂成功率が五割」などと言われてしまっているのだと思います(実際には根拠となる統計的資料はなく、全くの素人でそのくらいであろうとされている)。
富士山は、登山として技術的な難易度はさほど高くはありませんが、一日で日帰りするには行程が長いので、登山経験も練習もなしに登れば辛いのも当然です。これは、運動不足の人がいきなりフルマラソンの大会に出るようなものですから、むしろ辛くない方がおかしいのです。
他の人の書き込みを鵜呑みにしないで
しかし、現実にはそういう運動不足、準備不足の人たちが「登山はつらいだけで楽しくなかった」「もう二度と富士山には登りたくない」「体調を崩して登頂出来なかった」などとブログやツイッターなどに感想を書き込んでいるのを、同様の未経験者が真に受けて、「あぁ、富士登山てつまらないのね」「そんなにつらいのか」など敬遠しているのかと思うと悲しくなります。
ですから、このサイトは、「いかにすれば『楽に』『楽しく』富士登山が出来るか」を皆様に伝えることで、「富士山に登ってみたい」「登ってみたら楽しかった」「他の人にも薦めたい」と思っていただくために立ち上げたのです。なんとも長い前振りとなりましたが、要するに「富士山に登りにおいでよ。でも、事前にしっかり準備してね」ということが言いたかったのです(^^)
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