HOME ページ選択 遭難事故の記録 2015年2015年1月2日

文字サイズ

標準特大
LastUpdate 2016/08/18

富士山遭難事故の記録 2015年 1月2日

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

富士山で起きた遭難事故をまとめています。

31歳男性 連絡取れず家族から通報

1月1日から富士登山へ出かけていた夫と連絡が取れないとして、男性の妻から警察へ通報がありました。

記事では3日になって連絡があったとのことですが、1日夜に富士山に入り、2日の朝に登山を開始して当日の内に下山する予定だったようです。

News!

読売新聞が運営するWEBサイト、YOMIURI ONLINEからの引用です。

新潟など3県、冬山での不明7人に

2015年01月04日 01時00分

 年末から年始にかけて相次いでいる冬山の遭難で、3日も富士登山に向かった男性の家族から遭難の通報があるなど、新潟、山梨、栃木3県では同日現在、読売新聞のまとめで計7人が行方不明となっている。

 3日午前9時半頃、富士山に1人で登山に出かけた栃木県小山市西城南、会社員長井広満さん(31)の妻から「夫と連絡が取れない」と、山梨県警富士吉田署に連絡があった。富士山ではこのほか、12月28日から同県富士吉田市の臨床工学技士宮下聡さん(31)も行方不明になっており、県警は3日、ヘリなどで2人を捜索したが発見できなかった。

<後略>

▲TOP

心配停止で発見、死亡が確認される

連絡が取れなくなっていた男性が、五合目の「不浄流し」と呼ばれる沢で心配停止の状態で倒れているのが発見されました。その後、男性は死亡が確認されています。警察によると男性はザックなどの装備品を身に着けていなかったことから、さらに上部から滑落したものとみられています(滑落の衝撃で装備が飛ばされた)。

登山計画書によると2合目までの往復という計画だったようですが、普通吉田口を麓から登る場合、2合目までで帰ってくるというのは考えづらいです。2合目には富士御室浅間神社がありますが、周囲は樹林帯で見晴らしも無く、目的地として設定するにはあまりにも中途半端な場所だからです。発見現場が5合目ということからも元々もっと上を目指していた可能性があります。

発見現場

なお、不浄流しと呼ばれる沢は富士山にいくつもあり、時代による変遷などもあって特定が難しいのですが、今回の発見現場としては恐らく吉田ルート登山道の夏道から一本東側、下山道との間の沢を指すと思われます。

目的地を2合目としていて不浄流しまで迷い込むことはあまり考えられませんが、遭難者の男性が富士山を訪れるのが初めてということであれば全く無いとも言い切れません。

News!

TV朝日の公式WEBサイトからの引用です。

5合目付近で心肺停止で発見 富士山で不明の男性

(01/04 18:05)

 富士山で行方不明になっていた栃木県小山市の男性が、5合目付近で心肺停止の状態で発見されました。

 心肺停止の状態で発見されたのは、小山市の会社員・長井広満さん(31)です。警察などの捜索隊が4日午前10時すぎ、5合目付近の登山道から外れた「不浄流し」と呼ばれる沢で長井さんを発見したということです。長井さんは2日の朝から登山を始めたとみられていて、登山計画書によりますと、登山口から2合目までを往復することになっていました。
News!

朝日新聞が運営するWEBサイト、朝日新聞デジタルからの引用です。

富士山で31歳男性死亡 他の不明者捜索中発見

2015年1月5日00時21分

 4日午前10時20分ごろ、富士山5合目付近の山梨県側の沢で、栃木県小山市西城南6丁目、会社員長井広満さん(31)が倒れているのを、別の行方不明者を捜していた山梨県警の捜索隊が発見した。長井さんはその場で死亡が確認された。

 富士吉田署によると、長井さんはザックなどの装備品を身につけておらず、滑落したとみられるという。長井さんは1日午後9時半ごろ、自宅から車で富士山に向かった。地元の山岳会には、ふもとの吉田口登山道から2合目を往復する登山計画書を提出していたという。

 だが、2日に立ち寄る予定だった神奈川県内の実家に姿を見せず、3日に家族が署に通報した。

 富士山では、昨年末に9合目付近で山梨県富士吉田市の臨床工学技士、宮下聡さん(31)が滑落し、行方不明になっている。

 宮下さんの捜索隊が、長井さんを発見したという。宮下さんは見つかっていない。
▲TOP

死因は頚椎骨折

登山計画書は正確に

富士吉田署による5日の発表によると、死因は頚椎骨折だそうです。やはり滑落、それもかなりの高さを落ちたと推測されます。

事実関係がハッキリしていないので適当なことは言えませんが、一般論として登山計画書は事実を正確に書いてこそ役に立つものです。今回の遭難も、別の遭難者の捜索中に偶然見つかったわけで、登山計画書の通りに2合目付近だけの捜索にとどまっていたら発見はもっと遅れたかも知れません。

このケースに限らず、遭難者が生存していても登山計画書の記載が間違っていたら、自ら生還の可能性を狭めることになるということです。

▲TOP