山小屋でのトラブルを避けるために、基礎的な知識を覚えておきましょう。
山小屋のルールとマナー
ルールは誰のため?
あなたのためです。
ルールは誰のため?
あなたのためです。
山小屋でのトラブルを避けるために、基礎的な知識を覚えておきましょう。
山小屋では、宿泊代も食事代も全て先払いが原則です。街中の飲食店の感覚でいると、「支払いは食事の後」と思ってしまいますが、注文時か料理と引き換えに代金を渡すようになっています。
バイオトイレ (at 砂走館)
富士山では、かつて糞尿は山肌に垂れ流され、トイレットペーパーが斜面に張り付いてヒラヒラ揺れているなんていう光景も見られたと言います。ですが近年大幅に改善され、微生物によって屎尿を分解するバイオトイレなど環境対応型のトイレが整備されました。これによって、トイレの近くでも臭いもほとんどしなくなりました。
但し、水洗トイレとは違うところも多くあります。タイプごとに使用方法に決まりがありますので、注意書きをよく読んで必ず指示に従ってください。
トイレには、タバコの吸殻、生理用品などだけでなく、ティッシュペーパーも捨ててはいけません。備え付けの汚物箱に入れましょう。意外と知られていませんが、ティッシュペーパーは非水溶性(水に溶けない)なので簡単には分解されないのです。(※普通の水洗トイレでも、ティッシュペーパーは詰まりの原因となるので流してはいけません)
トイレットペーパーも分解に時間が掛かるため、使用できないバイオトイレもあります。
便座クリーナーなど殺菌効果のあるものが付いた紙なども、分解処理のために微生物を利用しているバイオトイレでは捨ててはいけません。使用後は、微生物を活性化させるための攪拌ボタンを押す必要があるので、忘れないようにしましょう。ルールとマナーを守ってみんなが快適に使えるといいですね。
トイレは有料
また、富士山のトイレは、ほぼ全て有料となっています。50~300円を1回ごとに支払うので、特に山小屋の閉まる夜間に登る方は、100円玉を多く用意しておいた方が安心です。
宿泊者は無料や割引で使える場合もあるので、各山小屋に確認してください。
富士山は、山頂はもちろんのこと、5合目でさえも水道は通っていません。
生活用水として雨水や雪解け水、調理用には下から運び上げた水を使っているので、お風呂はもちろん、手を洗う水さえありません。着替えやウェットティッシュなどを用意しておきましょう。
富士山の山小屋では、ストーブ(携帯コンロのこと)の使用禁止のみならず、屋内での喫煙も禁止されています。
屋外の決められた場所か、燃えやすいものの無い安全な場所で、他の登山者が居たら風下に移動して喫煙してください。
吸殻のポイ捨てなど言語道断です。山では水が無いために、万が一火事になると建物が総て焼け落ちるまで火が消えることはありません。もちろん屋内だけでなく、山小屋周辺の他、山中のどこでも同じです。
喫煙者は必ず携帯灰皿を用意して、火が消えたことを必ず確認して後始末してください。佐藤小屋では、調理のための点火も山小屋の主人だけが行うという決まりがあるそうです。山で生活する人は、それだけ火の取り扱いに注意を払っているということですね。
靴やレインウェア、ストックなどを他の人のものを間違えて持って行ってしまうケースが多いそうです。
レインウェアは、袋に入れてザックに仕舞う。ストックもザックに括り付ける。靴は、左右の靴紐を結びつけてバラバラにならないようにして、目印としてカラビナ(ワッカ状の金具)などを付けておくといいでしょう。
ときにザックごと間違えて持って行かれるケースもあるようなので、ザックもデコレーション携帯よろしく、アクセサリーで飾り立てておくと良いかも知れません。また、めったに無いとは思いますが、盗難に備えて貴重品は肌身離さず持ち歩くようにしましょう。
山小屋の入口は狭く、多くの人が出入りします。出立や到着のときも出来るだけ留まらないように工夫しましょう。
例えば、登山靴の紐を締めるのは小屋の外に出てからにする。靴を脱ぐのも小屋に入る前に結び目を少し緩めておく。雨の日に雨具を着るときなども入口で着込もうとせず、居室や食堂など広いところで済ましておく、などです。
ストックも、山小屋の玄関に立てかけておくと蹴飛ばされたりしますから、山小屋に入る前に縮めてザックに括り付けるなりしておきましょう。人の通り道に置いておいて、蹴飛ばされたからと言って相手に腹を立てるのは逆ギレというものです。
基本的に山小屋では雑魚寝ですから、他の人が就寝中に音を立てると迷惑になります。ありがちなのが、コンビニやスーパーのレジ袋のたてるカサカサという音です。ゴミ袋や着替えを入れる袋は、音の立たない素材のビニール袋で用意するようにしましょう。
また、夜間にトイレに行くときはヘッドランプを使いますが、光が寝ている人の顔に当たらないように、ヘッドランプは天井(真上)に向けて使いましょう。山小屋は天井が低めですから、天井に反射させた光でも充分に足元が見えます。目が暗さに慣れるまで少し待ってから動けば尚いいでしょう。
ただし、誤って頭を踏みつけられるよりは光を当てられた方がマシなので、どうしても明かりが必要であれば、光量が調節出来るヘッドランプを用意して、最低光量に絞って足元を照らすといいでしょう。
なお、ヘッドランプと(必要であれば)トイレットペーパー、トイレ代の小銭などは、寝る前にザックから出して枕元に準備しておきましょう(高山病の方はエチケット袋も)。外は寒いですから、防寒着も布団の上に被せておくと、一々ザックから取り出す手間が省けます。夜中に起き出してゴソゴソされると、眠りの浅い人は目を覚ましてしまいます。このような気遣いが、お互いに快適に過ごす知恵となりますよね。
他にも消灯後におしゃべりしない、酒に酔って騒いだりしない、携帯電話を目覚ましに使うときはバイブレーションに、など色々ありますが、その辺は山小屋に限らないので一般常識で判断してください。
山では細かいことは気にせず、心を広く持ちましょう。
適度な気配りと、ほどほどの鈍感さが山を楽しむコツです。音が気になる人は耳栓を、光が気になる人はアイマスクを持参しましょう。眠れなくても、横になっていれば体力は回復するという割り切りも必要です。ようは心の持ちようですね。