23歳男性 火口滑落/40代男性 救助中滑落行方不明
GW中の富士山山頂剣ヶ峰付近で昼過ぎ、須走口から同僚二人と山頂まで登りスノーボードをしていた男性が火口に滑落しました。男性は、同僚と他の登山者に救助されましたが、意識不明。スノーボードに乗せて下山させようとするも心配停止の状態になり、二次災害の危険があるため、男性を残して下山。
同行者からの「一緒にいた仲間が火口に滑落した」との110番通報により静岡県警山岳遭難救助隊が救助に向かうも悪天候と日没により救助を断念。翌5日は、天候不良により捜索活動見送り。
また、その男性の救助に協力していた40歳代とみられる単独登山者の男性が下山搬送中に斜面を滑落。行方不明となっています。
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当日の天候
私(当サイト管理人)も同日、吉田口を北口本宮冨士浅間神社から5合目を目指して登山していましたが、下の方は晴れて陽射しがあったものの、上の方では天候が悪化して雨と共に風が強くなっていたようです。晴れの予報に誘われて登ってみたら、山頂は笠雲の中で暴風が吹き荒れていたなんてことは、富士山では良くあることです。
台風の大きさは平均風速15m/s以上の範囲と定義されますが、最大瞬間風速は、平均風速の1.5~2倍にも達することがあります。もし平均20m/sの風*が吹いていたら、40m/s近い突風が吹き荒れていた可能性があります。そのような強風では、まともに立っていることすら出来ません。強風が滑落の直接の原因となったかどうかは分かりませんが、救助活動や下山搬送の障害になったことは想像に難くありません。
(*山頂で風速の計測は現在行われていないため、河口湖上空の風速による。4,000mは終日欠測だが、5,000mの風速から、4,000m付近も秒速10m台後半であると思われる。)
気温は、山頂でマイナス10℃前後と富士山としては極端に低くはありませんが、風が強いと体感温度も下がるため、行方不明になっている男性の生存が危ぶまれます。
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23歳男性 死亡を確認/40代男性 依然行方不明
5月7日、最初に滑落した男性が山頂で見つかり、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
救助中に滑落して行方不明になっていた男性は、未だに見つかっていません。身元も判明していない模様です。
冬の富士山は、登山計画書の届出が義務付けられていますが、この男性は提出していたそうです。それによると、スノーボードで滑りながらお鉢巡りをすると書いてあったそうです。
夏の富士山に登ったことがある人は、山頂は平らなところだから斜面よりも安全だと思うかも知れません。ですが、地面は平らでも雪が積もると偏りが出来て傾斜になります。この男性が滑落した場所は剣ヶ峰付近だったらしいので、雪が無くても元々傾斜がキツイところですからさらに傾斜がキツクなっていたことでしょう。
写真は、2012年7月9日の山頂です。この年も雪が多く、山開き後もしばらく火口を巡る道が一部通行止めにされていたほどです。大げさではなく、火口に落ちたら命はありません。
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ザックとストック2本見つかる
行方不明の男性は未だ捜索中ですが、富士宮口を登山していた人が持ち主不明のザックと、ストックを2本見つけたと静岡県警山岳遭難救助隊に届け出ました。
ストックは、それぞれ別の種類ということで、遭難者のものでは無いと思われます。これまでの記事でも黄色いピッケルを持っていたことは報道されていますが、ストックには触れられていませんでしたので。この時期の富士山で、ストックまで持って来た可能性も低いでしょう。
一方、ザックはどうでしょうか?普通に考えて、仮にザックを斜面に滑り落としてしまったとしても、回収せずに捨て置くということは考え辛く、中身が古くなっていないようだったら、この行方不明者のものの可能性が高いでしょう。
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不明男性未だ見つからず
行方不明になって2週間になりますが、未だに発見されていないようです。そろそろ捜索も打ち切られるのかも知れません。
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行方不明者の身元判明
先日見つかったザックは、やはり行方不明者のものだったようです。身分証明書が入っていたことから身元が判明しましたが、登山計画書も提出していなかったことから家族に連絡が行くまでにこれほどの時間が掛かってしまいました。
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行方不明者と見られる遺体を発見
滑落者の救助に協力して下山中に滑落、行方不明になった男性とみられる遺体が、富士宮口8合5勺付近で発見されました。
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収容遺体の身元を42歳男性と確認
5月28日に登山者によって発見され、29日に収容された遺体の身元が特定されました。なお、遺体の搬送には、スノーボート(救助用ソリ)が使用されていたようです(NHKのニュース映像で確認)。
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