吉田ルート登山レポート
登山日 | 日 |
---|---|
天候 | 晴れ |
投稿者 | 富士さんぽ管理人 36歳 男 |
人数 | 単独 |
プラン | 日中日帰り |
富士さんぽ管理人による、の登山レポート。
登山日 | 日 |
---|---|
天候 | 晴れ |
投稿者 | 富士さんぽ管理人 36歳 男 |
人数 | 単独 |
プラン | 日中日帰り |
富士さんぽ管理人による、の登山レポート。
9月11日(日)に吉田ルートの1合目下馬返(うまがえし)から登ってきました。富士山は、交通手段の発達した現代では5合目から登るのが一般的ですが、昔は当然ながら麓から登っていました。
かつては登山も富士山信仰と密接に係わっていた関係から、麓から登る場合は富士吉田にある金鳥居(かなどりい)や、浅間神社を起点としたようです。そして、馬がそれ以上進めず、登山者が自分の足で登り始める場所として馬返を登山の開始地点としていました。
馬返から登る
さて、馬返からの登山であるが、今回もこのサイトの情報収集のためのおかしな行程と、予想外の展開で富士山を堪能することになった。まず、馬返の駐車場へ行くまでが一苦労。アクセス方法の詳細は別のページにまとめる予定であるが、簡単に説明すると、浅間大社の横からキレイに整備された一本道を登り、中の茶屋の駐車場を突っ切って、舗装はボロボロ、砂が乗って荒れ果てた悪路を延々と登ることになる。
ところが、道を間違えて、さらに悪路の林道を原付のタイヤがパンクしないか、ビクビクしながら走るハメになってしまった。いずれにしてもアクセスが悪い。悪すぎる。間違って通った林道は馬返への迂回路に入るまでは(過剰とも思えるほど)キレイに整備されているのに、政治家の票に繋がらない道はほったらかしか?
まぁ、その話はおいといて・・・当日は、浅間大社に着くころから雨。馬返の駐車場に着くと、意外と多くの車が停まっている。元々駐車場が狭く、精々20台少々しか停められそうもないが、7~8割はすでに埋まっていた。シーズン中は駐車場から車が溢れ出しているのだろうか?
朝出発25℃
例によって、原付バイクで家を出る。何箇所か寄り道をしたため、馬返に着くのが遅くなってしまった。こんなサイトで偉そうに語っているが、『登山の開始時刻は遅くならないように』という、登山の原則を自ら破る行動に反省。要改善の課題だ。
馬返の駐車場にはオフロード系のバイクも停まっていたが、林道の走行に慣れていない人がここまで来るには、街乗りバイクや車高の低い車では厳しいかも知れない。但し、道自体は真っ直ぐで曲がりくねった道というわけではない。
雨の中、早速雨具を着こんでストレッチをして準備。私は本来晴れ男なのだが、最近は雨に祟られているようだ。
10:34馬返駐車場発雨19℃
登山道の真ん中に溝(ピンボケ)
雨は降っているが、さすがに標高が低い位置なので寒さは感じない。汗をかくことを予想してレインウェアの下は長袖の上着を脱いで化繊のTシャツ一枚とした。同じころ、トレイルランニング(山を走り登るスポーツ)のグループが上がってきた。車ではなく、浅間大社から走って来たらしい。下からここまで8kmもあるのだが・・・同時に出発したが、すぐに見えなくなった。同じ人間とは思えない体力はすごいものだ。
駐車場では降っていた雨も、登山道に入ると樹林に遮られてほとんど落ちてこない。雨具を着ていると蒸し暑く、次第に雨もやんで来たので脱ぐことにした。
道は、かなり崩壊が進んでいて、雨の流れた跡が登山道の真ん中に深い溝を作っていたりする。いつごろ作られたものか石畳が部分的にあるが、今でも頑健に残っている。雨水を脇に逃がす排水路が丸太で作られていて、何度も乗り越えて進んで行く。登るに従い、廃墟が目に付く。歴史有る登山道が荒廃しているのを見るのはなんとも寂しい。世界遺産登録を望むのであれば、その名に恥じないだけの整備を行政にはお願いしたい。もちろん、過剰な整備は願い下げだが。
11:48三合目着曇り16℃
かつてテーブルとベンチがあったようだが、ベンチ二脚を残して残骸と化している。岩が多いので座るところには困らないが、テーブルがあると便利なだけに残念だ。さらに登り、今は廃業したとみられる井上小屋、その他の山小屋の廃屋を横目に見ながら5合目を目指す。登山道が荒れている場所にいくらか注意が必要だが、傾斜が急なところもさほど多くなく、快調に高度を稼いでいく。
13:07佐藤小屋着
ここで食事休憩。TVの登山番組で見たことがあるが、冬季も営業している(要予約)富士山で唯一の山小屋として有名なところ。この時期は人も少なく落ち着いた雰囲気がいい。標高が上がって涼しくなったので長袖の上着を着る。
14:12星観荘発
佐藤小屋のすぐ上にあるのが、里見平★星観荘。こちらのご主人は山小屋経営に信念を持ってやっているようで、ついつい話し込んでしまった。この里見平は吉田ルートの本来の6合目なのだが、かつての河口湖ルートの6合目はさらに上にある。河口湖ルートが吉田ルートに統合された今でも別れたままなのはややこしい。
新しい6合目を目指して登っていくと、日蓮上人ゆかりの旧跡、『姥ヶ懐(うばがふところ)』へ行く脇道がある。2分ほど下ってすぐなので、興味があれば行ってみると良い。ちなみに、降りて右に行くのが正しい順路だが、左に行くと少し下の登山道に迂回して出る形になる。登り返すのに5分は無駄になるので気をつけよう(体験者は語る)。ここで8分の寄り道となった。
14:426合目着
ここまで、天気が良くなかったこともあり、飲料水の消費量は400ml。
ここで富士スバルラインからの登山者と合流して賑やかになるが、ここまで登ってくる間にも20組(30名)近い下山者とすれ違った。こんなマイナールートでも、さすがに富士山は登山者が多いものだ。
さて、馬返からここまで、食事と寄り道を除いた時間は、3時間38分。参考コースタイムが3時間30分だからやや遅いが、気にするほどでもない。ここから山頂ではなく、富士スバルライン五合目に向かう。
15:10富士スバルライン五合目着
5合目へ下る道は、意外と危ないところがある。登山道とはいえ整備された道なので、パッと見はさほどでもないのだが、砂が乗った石畳は数多くの登山者に踏まれて角が丸くなっている。このために、足がかりとしてエッジ(石の尖った角)が使えない。
誰もそんなことは気にもとめずにスタスタ降りていくが、ここは細心の注意を払う必要があることを覚えておいてほしい。特に、本来は疲れて下山してきてフラフラの足で降りることになるのだから、危険を認識し、より安全な足捌きを意識して歩くことが大切だ。
石畳以外の道も細かい砂で滑りやすい斜面だが、概ね広い道なのでさほどの危険はない。すべっても尻餅をつく程度で、手袋をしていれば怪我もないはずだ。もちろん、油断は禁物だが。
5合目の駐車場は、朝に下の料金所で聞いたところ満車になっていたらしい。その前の日が地元の人も「すごい、いい天気だった」と言うほどの快晴だったので、御来光登山者の駐車が多かったらしい。その後夕方近くまで混雑していたようだが、駐車場のスタッフに聞くと夕方にはガラガラだとのこと。おそらく、吉田ルートの山小屋が全部閉まる週末まで、土曜の夜から翌朝までは満車の状態が続くのだろう。しかし9月でこれとは、驚きだ。
16:185合目発晴れやや雲あり15℃
本当は、昼過ぎには折り返していなければいけない計画だったが、大幅に遅れている。この時点で登頂は半ば諦めていた。日が暮れるまで山小屋巡りをすることに計画を修正する。
余談だが、登山道の入り口と6合目には、9月5日で吉田ルートは冬季閉鎖したとの看板が立っている。しかし、ロープもバリケードも無いので、みんな看板に目をとめることも無く通り過ぎていく。まぁ、8月27日で山仕舞いという建前上そういう告知をすることになるし、一方で山小屋もまだ営業しているから通行を黙認せざるを得ないのだろうが、もう少し実情を考える必要もあるのではないか。何が悪いと言うのでもないが、なんとも複雑な思いである。
16:526合目着
5合目から、また6合目へ登り返して来た。軽く食事を摂るためにしばし休憩。
17:076合目発
この先は登山道の痛みが酷い。元々噴火の溶岩によって形成された成層火山の表土は、『スコリア』と呼ばれる噴出物が堆積したもので崩れ易いようだ。登山道は木の板や鉄の網で補修したところが無数に続く。
登山者の多さがさらに拍車をかけるのだろうが、自然の地形を登るのが醍醐味のはずの登山としては寂しい限りだ。もちろん、私も山を傷つける側の一人ではあるが・・・せめて登山道を外れず、土留めされているところ以外は踏まないように気をつけて歩く。
17:50花小屋着
岩場を仰角30°ほどで撮影(ピンボケ)
この山小屋を過ぎてすぐの岩場は要注意だ。山小屋の人に聞いたら、落ちて怪我をする人はあまりいないらしいが、万が一落ちると大怪我の恐れがある。特に、登山の継続を断念するなどで岩場を降る場合には、腰をかがめて手を使い、鎖ではなく岩に掴まってゆっくり慎重に降りること。この後も、ずっと岩場が続く。
余談だが、今回の登山でもダブルストックを使用している。しかし、こういう急な岩場ではストックを余程使いこなせていないとストックは邪魔になる。邪魔なだけでなく、却ってバランスを崩して転落するなど危険である。面倒くさがらず、ちゃんと収縮させてザックに括り付けて通過すること。
18:04七合目トモエ館着
ここでほぼ、日が暮れてしまった。この後の行程をどうするか、迷う。すぐに登山道は真っ暗になるだろう。山小屋の外観写真ももう撮れないので、いずれ再挑戦することになるが、今回も山頂まで登っておくべきか。
決めかねながらもさらに進むと、下山中の3人組とすれ違う。何度も登山をやっていると様子を見るだけでなんとなく分かることもある。どうやらこのグループはライトを持っていないようで、話しかけて聞いてみると、やはりそうだった。いかに満月に近い月が明るく照らしているといっても、この下の岩場を明かり無しで下るのは無理がある。登り続けるか迷っていたこともあり、一緒について下山することにした。(これ以降、ハンドライトで同行者の足元を照らしていたためストックは不使用。単独に戻っても馬返に下山するまでノーストックでした)
このような観光地の山では、ライトを持たずに登ったはいいが、途中で日が暮れて立ち往生するというケースが良くある。登るのはいいが、下山に掛かる時間の計算も頭に入れながら登ることが必要ですぞ。
無事富士スバルライン五合目に下山。お礼にといって、梨とリンゴをいただいた。人助けと言うと大げさだが、山で困ったときはお互い様。私も前回の御殿場口への下山後に車道を歩いているとき、わざわざ車で送ってくれた人が居て、そのときに受けた親切を別の方に対してだが少し返せた気がして良かった。こうして『助け合いの心』が巡り巡っていくのが登山の理想かも知れない。【以下私信】頂いた梨とリンゴ、おいしくいただきました。ありがとうございました。これに懲りることなく、また山に来てくださいね。
下山の途中、下の方も晴れていたので、河口湖の夜景がキレイだった。ただ気になったのが、行き違う他の登山者でライトを点けていない人が多かったことだ。聞いてみると、ライトは持っているという。確かに、降りに比べれば、登りは比較的危険度は少ないが、それでも急な坂に石畳の道など、決して油断は出来ないはず。月明かりの情緒を楽しむなら、止まって休憩しているときだけでいいと思うのだが、どうだろう?
実際、吉田ルートは、7合目まで馬が通っているので、昨日も道の真ん中に馬の糞が落ちていた。草食動物の馬の糞は意外と匂わないので、真っ暗な中で踏んでしまった人もいるのではないだろうか?馬の糞と笑うなかれ。これが暗闇の中で石を不用意に踏みつけたらと考えると、万が一それで捻挫でもしたら折角の登山も台無しだ。説教臭いと思うかもしれないが、少なくとも、このサイトを見た人にはそのような無思慮なことはやめて頂きたいものである。
20:33富士スバルライン五合目発12℃
さぁ、あとは家に帰るだけ・・・なのだが、ここで話が終わらないのが、さらに面白いところ。長くなりましたが、もう少しお付き合いを。
原付が停めてある馬返までは、まだまだ歩く。6合目より下は眺望も無く、夜景を見られるところも少ないので、ひたすら下る。
21:403合目着
3合目を過ぎてさらに下って行くと、下から明かりが近づいてくる。こんな時間に?人のことは言えませんが、夜更けにこの道を通るのは、よほどの好き物です(笑)
挨拶をしたら話しかけて来たので聞いてみると、どうやら地図を持っていないので正しいルートなのか不安に思っていたとのこと。この道は、崩壊した部分を迂回したりして登山道が部分的に付け替えられているところもあり、あまり登山の経験がないと変なところに入り込む恐れも無きにしも非ず。また、一度舗装路に出て登山道に戻るところも分かりにくい。
まだ多少は体力に余裕が残っていたので、6合目まで同行することに。ところが、この若者は普段自転車通勤をしているとのことで体力があり、地図を持たない以外はしっかりしていたので、付き添う必要はなかったかもしれない。むしろ、こちらがついて行くのがやっとなぐらいだった。でも、こういう出会いも登山の面白いところ。普段は単独行なので、前の3人組のときもそうだが、同行者と話しながら登るのは新鮮で楽しかった。
24:006合目着
ここまで来れば、他の登山者がいっぱい登っているので安心だ。握手して若者と別れた。
1:133合目着
三合目のベンチで休んでいると、また一人登って行った。居るんだなぁ、こんな夜中でも。富士山はやっぱり人を惹きつけるのか。
2:02馬返駐車場着
日も変わって、さすがにもう月曜日。車は3台が停まるのみ。
おかしな行程なので参考にはならないでしょうが、15時間半の行動となりました。
家に帰るまでが登山です。私も無事に帰れたのでこうしてレポート出来ています。登山が終わったら、車の人は仮眠するなり休憩してから帰りましょう。それと、登山のときはライトと地図は忘れずに持ちましょう。