食べる酸素で高山病予防?
高山病の原因が、主に気圧の低下に伴う酸素量の不足とされることから、近年の富士山登山ブームも相まって、食べる酸素、飲む酸素、酸素水などの、所謂『酸素含有サプリメント・酸素含有飲料』が注目を集めています。果たして、本当にそのような商品が高山病対策に有効なのかどうか。私に出来る範囲で、可能な限り科学的、論理的に検証したページです。
いきなり結論
以下、長く、且つ複雑な内容になるので、最初に結論を記しておきます。
これらの商品に、高山病予防の効果はありません。
食べる酸素や酸素水が「効果あった」という意見も、所謂「プラシーボ(偽薬)効果」というもので、ある種の自己暗示での思い込みによるものです。あるいは、業者による「あくまで個人の感想であり・・・」という但し書きのついた宣伝文句でしかありません。そんなものに頼るよりも、数回深呼吸をした方が遥かに有効です。
そのようなものから酸素を摂取出来たとしても、得られるのは呼吸一回分にも満たない極々限られた量で、尚且つ一過性であり、何時間も登り続ける登山には全く意味を持ちません。
高山病予防に効果があるなんて、誰が言い出した?
そもそも、商品説明ではどこにも「高山病の防止、治療に効果がある」などとは書いていません。書かれていないのに、「酸素」という言葉に反応して、噂が一人歩きしているようです。もしもそのような効果が確かめられたら、販売業者が真っ先に宣伝文句に利用するでしょう。
現実には、「疲労回復」「ストレス解消」「リフレッシュ」などの、検証しがたい、どうにでも取れる表現ばかりです。登山に絡めて奨める場合も、「富士登山のお供に」「スポーツのときに」などのように、その製品によって具体的に何か効果があるとは書かれていません。
大体この手の商品(いわゆる健康食品)の多くは、具体的な効果、効能、原理などは曖昧にして、何か身体に良いようなイメージだけを前面に出しているものです。食べる酸素、飲む酸素もその類の商品であることに、疑いありません。